サッカーとムエタイの『キック』の違い
プロサッカー選手にも注目されつつあるムエタイ。同じ『キック』という動作ではあるのだが、身体の使い方が全く異なるのは意外と知らない人は多いのではないだろうか?
顕著なのがこの写真。十数年前、サッカー選手を引退後に、タイの某ジムでムエタイ体験をした中田英寿氏のキックのフォーム。
私などが検証するのも非常におこがましいのだが、腰の位置を見て欲しい。軸足(この場合は左足)の足首が(写真では見られないのが残念だが)うまく回転していないと思われる。おそらく軸足のつま先は相手に向けて真っ直ぐ、あるいはほんの少し外側に向いている程度。右腰(骨盤右側)がインパクトの瞬間に重心よりもやや後方になっているのがお分かりだろうか?
これに対し、ムエタイ選手のキックはこちら ↓
格闘技好きの方も、そうでない方もおそらく知らない人はいないであろう、ブアカーオのキック。軸足は地面に対して真っ直ぐに伸び、母指球にしっかり重心を乗せ、足首も返っている(かかとが相手の方を向くくらい)。左腕もキックと同時にしっかり振り下ろし、右腕もガードしている。非の付け所がないくらいの完璧なフォームだ。
それでは、サッカーとムエタイのキックの違いのポイントを見ていこう。
サッカーボールを蹴る時は、軸足をしっかり踏み込み、蹴り足がボールへインパクトする瞬間まで足首を固定させる。ボールが当たり、足を振りぬく時に軸足が動く。
これに対しムエタイのキックは、踏み込んでからキックが当たるまでの間に、軸足のかかとをあげながら母指球を軸に回転させていく。正確には腰から捻っていくような感じで、その動きに続いて軸足の足首を回転させる。こうすることで、『腰の入ったしなる蹴り』が打てる。
サッカー選手にイメージしてもらうために、「インパクトの瞬間は、ボレーを打つ感じで足首を回すように」と伝えている。
これさえできるようになれば、プロサッカー選手はもちろん、↑の中田氏ほどの身体能力があれば、ものすごい強烈なキックが打てるようになるのは間違いない。
以上の点に注目しつつ、練習に取り組んでみて欲しい。